
『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』を大変楽しく気侭に繰っている。
澁澤龍彦のすべての蔵書を一冊の目録としたもので、澁澤の書架が書架に収まってしまうのだからまさしく"胡桃の中の世界"、入れ子構造のようだ。
『COSMOGRAPHIA LIBRARIA』とは澁澤好みの、なんと上手い副題をつけたものだろう。
リヴレスクな澁澤の書架にあって、「チョット以外だな…」と思いながらも妙に納得してしまったものが在った。それは一冊の漫画で、つげ義春の代表作『ねじ式』だったことだ。
巻末の松山俊太郎と巖谷國士の対談で巖谷氏も言っているが、『ねじ式』が出た際、澁澤は「これはいいんだー」と大喜びしたそうである。
『ねじ式』と云えば、青年(つげ自身)がメメクラゲに左腕の血管を切断されたので、治療をする為に路地を縫うように走る機関車に乗り村を放浪するが、行けども行けども眼科ばかり。ついには遊女のような婦人科医に会ってナニするうちに"シリツ"は完了して、廻すと腕が痺れてしまうねじ式の血管縫合器を取り付けられてしまう、というものである。
有名な作品だから、漫画好きでなくとも読んだことのある方は多いのではないか。
石井輝夫監督の映画『ねじ式』を最近になり観たが、主演の浅野忠信の無機質な表情がつげ作品にぴったりであっただけではなく、オープニングとエンディングをアスベスト館の若き舞踏家たちが飾っていたことに、澁澤と土方巽の没して尚繋がる奇妙な縁に、胸がじんとなるのを覚えた。
■『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』 国書刊行会■『ねじ式』 小学館文庫■土方巽記念アスベスト館
posted by Usher at 00:09|
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