
先般、公の場で演奏することになり(と言っても演奏会のような大袈裟なものではなく、ササヤかな発表会だが)、さて選曲をどうしたものかと考え倦ねていたので、我が提琴の師に相談することにした。
「今、丁度練習なさっているヘンデルのソナタNo.2では如何ですか?」
「4楽章を全て弾くには長すぎますよ。先生。」
「第1、第3、第4楽章の3曲ではどうでしょうね。」
「それでは、緩緩急のAAB形式になってしまいますが…。」
「第1楽章と第3楽章を絶え間なく弾くようにして、1曲のような形にしてしまえば良いのですよ。その後、第4楽章に一気に入るようにしては如何かしらね。」
「…!」
成程、つまり緩急の2曲にしてしまうのである。これならまだ自然かもしれない。緩急緩急と云えばバロックソナタの形式の定番であるが、こうした様式美を考慮しながらの選曲も楽しいものだ。
現在ヘンデルのヴァイオリン・ソナタとして敷衍しているNo.2は、正確には作品1-10にあたり、実際にはヴァイオリンでの演奏の指定はない。またこのソナタの版は主に3つあり、内、大英図書館に所蔵されている「ウォルシュ版」の1つには、作品10と12は「ヘンデル氏のソロではない」と書かれているそうである。
愈々真作か否かは定かでは無くなってしまったが、楽器の指定のないヘンデル氏の作品ではないソナタを、様式を保ちつつもヴァイオリンで弾く…というのも少々不思議な心持がした。
■『ヘンデル/ヴァイオリン・ソナタ集』 アルトゥール・グリュミオー

