私が5才位までの頃、東京は江戸川区にある平井という街に住んでいたことがあった。
居としていたのは所謂公団住宅の一室で5階建程のアパートだったが、相対的視点というものだろうか。幼い私の眼には高層マンションのようにさえ高く思われた。
朝には浅蜊売りの呼び声が聴こえ、夕べになれば豆腐屋の喇叭が高らかに響き渡る。窓から顔を覗かせれば、遥か遠くに工場のプラントやガスタンク、煙突などが霞み掛かって観えていた。
先日気紛れに平井で電車を降りてみると其処には工場など無く、商店街や住宅街が広がるばかりだった。エミール・クレペリン云うところの追想錯誤だったのだろうか。
常に曇りであったような記憶のある平井の空だったが、その日は見事なまでの快晴であった。
2008年01月11日
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