
私が初めて触れた文学がオスカー・ワイルドだと言ったら、嘲笑の声さえ聞こえてきそうだ。尤も、タネを明かせばこれは幼少の頃に読んだ『幸福の王子』であって、ワイルド作と知ったのはもっと後のことだから、これを以ってして文学と云うのは無理があるかもしれない。しかし、朽ちてゆく王子の像と群れに逸れた燕の話は100年の時を経ても美しい。
では、初めて読んだ文学とは何であったか。それは小学生の頃に一気呵成に読み上げたドイルの『バスカヴィル家の犬』である。シャーロック・ホームズなど子供の読み物、と思われるかもしれないが、さにあらず。19世紀末のイギリス風俗を知る上で、これ以上の資料は無いような気がしてならない。
沙翁俳優、故ジェレミー・ブレットが演じたことで話題になった、英グラナダTVの『シャーロック・ホームズの冒険』を観た方も多いと思う。映画『オスカー・ワイルド』のアルフレッド・ダグラス卿役、ジュード・ロウは無名時代にこのグラナダ版『ホームズの冒険』(ショスコム荘)に出演している。台詞の一切無い女装する馬丁の役だが、その気品に満ちた立ち居振る舞いは既に完成されているように感じた。
※写真は物憂げな表情のアルフレッド・ダグラス卿(ボジー)。27歳頃。中々の美青年である。


サントラCD、実は私も持ってますヨ。ブックレットにオープニング・テーマのスコアが入っているので、時々戯れに弾いたりしてます。
ドラマ中のホームズの演奏シーンは、敢えて素人感を出す為に、ブレットの娘の演奏の音をあてているそうです。