もしも将来、詮索好きな研究者が、この時代の絵画から当時の視覚的な様相を知ろうとすると、彼はセザンヌやゴーガンやヴァン・ゴッホにはほとんど何の意義も見いだせないであろうが、モネやドガやトゥールーズ・ロートレックには多くの珍しい側面を発見するに違いない。−ハーバート・リード 瀧口修造:譯『芸術の意味』

ハーバート・リードは、その著『芸術の意味』の中で「印象派の画家たち」として上記のように書いている。
『洗濯女』はロートレックの初期の過渡期的習作だが、日常に倦み、草臥れた前髪に隠れた顔で窓の外を眺める姿が美しい。
映画『天井桟敷の人々』の一幕のようなパリの猥雑な風景や、嘗てキオスクなどに貼ってあったであろうポスターのような商業作品を描いた後期のロートレックの作品とは随分違って、非常に清廉なイメージである。
エドガー・ドガやオノレ・ドーミエ、ゴッホも描いた洗濯女は、踊り子と並んで此の時代の人気のテーマであった。しかし、この絵を描いた数年後にロートレックと同棲を始めた、シュザンヌ・ヴァラドンの母が洗濯女であったことは只の偶然なのだろうか。
『ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語』は、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催中。12/23(水)迄。その後、北九州市立美術館、財団法人ひろしま美術館を巡回する。
追記:2009/12/18) 『洗濯女』のモデルは、ガティネ生まれの作曲家アリステッド・ブリュアンのキャバレー「ミルリトン」で知り合った歌手カルメン・ゴーダン、通称「赤毛のローザ」。
※今回の展示会で『洗濯女』は展示されておりません。
■『ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語』 −Bunkamuraザ・ミュージアム


